夏休みも終盤。夏の終わりを感じさせる日も増えてきました。
そろそろ今年の浴衣シーズンも終わりかな?と思ったら、次のお休みの日にでもメンテナンスをしませんか?
家庭でできる浴衣の洗い方と、洗えない浴衣のお手入れ方法をご紹介します。
そもそも浴衣とは?
現代の浴衣は夏祭りや花火、旅館などで楽しまれることが多いですが、元々はお風呂で着用されていたと言われています。
時は平安時代、貴族たちのお風呂は今で言うところの蒸し風呂でした。
お湯につかるようになったのは江戸時代になってからで、当時は男性も女性も蒸し風呂で汗を流して垢を拭き取っていたのだそうです。
この蒸し風呂に入るときに用いたのが「湯帷子(ゆかたびら)」です。湯帷子は麻でできた単衣の着物で、貴族や上流階級が着用していました。
体には湯帷子、お尻の下には布を敷いていたのですが、この湯帷子が現在の「浴衣」に、お尻の下の布が「風呂敷」になったと言われています。
ここをチェック!浴衣につきやすいシミと汚れ
浴衣を着る機会は祭りの日だけなど短時間のことも多いと思いますが、限られた時間の着用でも汚れは付着してしまいます。
汗・皮脂
浴衣は特に夏場に着ることが多いので、汗は必ず付着してしまいます。
汗がつきやすい部位は襟、帯を巻いているウエストの部分、背中など。
汗をそのままにしてしまうと汗ジミとなって定着してしまいますし、臭いの原因になります。
襟元には皮脂汚れも付着してしまいます。
皮脂は私たちの体から出る脂になりますので、放置すると酸化して臭いを発しますし黄ばんでしまいます。
食べこぼし・飲みこぼし
目立つ食べこぼしは自分でもわかりやすいと思いますが、あまり着慣れない浴衣なので思わぬところが汚れてしまうこともあります。
注意したいのが袖です。
私が実際に旅館のバイキングで見た光景なのですが、並べられているメニューを物色している女性の浴衣の袖が、テーブルの上のケチャップの器にべっちょりと入っていたんです。
自分の浴衣を旅館で着ることは滅多にないかと思いますが、浴衣は洋服と違い袖丈が長いので、手を伸ばすなどの何気ない動作で汚してしまうこともあります。
袖口と袖の裾は特にしっかりチェックしてみて下さいね。
ファンデーションなどの化粧汚れ
ファンデーションも浴衣を汚す原因になります。
ファンデーションには油分が含まれているので、水だけで落とすことはできません。
もし外で化粧直しをしているときにファンデーション汚れを発見してもおしぼりや濡らしたハンカチなどでゴシゴシ擦るのはやめておきましょう。
水拭きだけでは落ちませんし、汚れを繊維の奥に押し込むことになってしまいます。
地色が濃い着物になると白っぽいファンデーションの汚れは目立ってしまいます。
浴衣を着てメイクをするときはハンカチやタオルを襟元と膝に置いて、付着を防ぐようにした方が良いでしょう。
土埃・泥はね
自分で気が付きにくいのが裾の泥はねです。
花火大会やお祭り会場は足元が砂利や土が剥き出しに合っていることも多いので、土埃や泥はねはどうしてもつきやすい汚れになってしまいます。
着用時に気をつけることは難しいと思いますので、着用後にしっかり落とすようにしましょう。
浴衣の洗い方
一般的に販売されている浴衣はたいてい家庭で洗うことができます。
洗濯表示をチェックして、家庭洗濯OKでしたらぜひご自分で洗ってみて下さい。
汚れをチェックして下処理
まずは浴衣を広げて汚れをチェックします。
・シミを発見したら?
お洗濯の前に襟、袖口、袖の裾、裾などの汚れがつきやすい部分をチェックしてみて下さい。
シミがついていたら溶かしたおしゃれ着用洗剤をつけてブラシでトントンと叩いておきます。
・酸素系漂白剤を使ってもいい?
色柄物の洋服に使える酸素系漂白剤ですが、浴衣は色が落ちやすいので注意が必要です。
どうしても使いたい場合は目立たない部分に溶かした酸素系漂白剤をつけてしばらく様子を見て、色落ちしないことを確認して下さい。
手洗いで洗う
・洗い
バケツなどにおしゃれ着用洗剤を溶かして洗剤液を作ります。
たたんだ状態の浴衣を浸して全体に洗剤液を行き渡らせて、優しく押し洗いをします。
・すすぎ
洗剤液を流してバケツに綺麗な水を溜めます。浴衣を入れて洗剤液を洗い流すように優しく押し洗いします。
このためすすぎを2回行います。
・脱水
脱水は洗濯機を使いましょう。
畳んだ状態で洗濯機に入れて脱水します。時間は1分を目安にします。水が完全に切れていなくても大丈夫です。
・干す
干す場所は風通しの良い日陰で、軽く叩いてシワを伸ばした状態で干します。
必ず陰干しして下さいね。
・アイロン
温度は中温で、当て布をしながらアイロンがけをします。
とは言うものの、浴衣って広げてみるとかなり大きな布なので、ご家庭のアイロン台で当て布しながら丁寧にシワを伸ばすのはかなり大変だと思います。
アイロンがけのコツは、
・干すときにできるだけシワを伸ばす。
・完全に乾く前の少し湿った状態でアイロンがけする。
・浴衣が完全に乾いていたらスチームや霧吹きを使う。
・割り切って、アイロンは目立つところだけかける。(帯で隠れる部分や下前にはかけない)
などの方法があります!
洗濯機で洗う
洗濯機で洗う場合は、必ずたたんだ状態で洗濯ネットに入れて洗います。
洗剤はおしゃれ着用洗剤を使って、洗濯機のコースは「ドライコース」「手洗いコース」「おしゃれ着コース」など優しく洗えるコースを使います。
基本的には洗濯機に任せて大丈夫なのですが、脱水しすぎるとシワができやすくなります。
時間は1分程にして、やりすぎないように気をつけて下さいね。
干す場所は必ず「風通しの良い日陰」にしましょう。
洗えない浴衣はどうしたらいいの?
藍染め、黒、紺、赤などの色が濃い浴衣は水洗いだけでも色が落ちてしまうことがあります。
また、柄に濃い色が使われている場合は、濃い部分から薄い部分に色が移ってしまうこともあります。
色移りを確認する方法としては、白いタオルに液体洗剤を少しつけて、浴衣の目立たない部分をトントンと叩いてみて下さい。タオルに色が移っていたら色移りが必ず起こります。
色落ち色移りが心配な浴衣、家庭洗濯不可の浴衣でも、洗わないまま次のシーズンまで長期保管することはおすすめしません。
シミが濃くなったり、変色、カビが生える、生地にダメージが起こってしまうこともあります。
洗えない浴衣はクレアンにお任せ!
浴衣のお悩みで一番多いご相談は汗ジミによる黄変です。黄変は浴衣に付着した汗をそのまま長時間放置することで起こってしまう変色です。シミになってしまってからではなかなか落とすことができないので、洗えない着物を着用したらシーズンオフのタイミングで必ず信頼できるクリーニング店に依頼することをおすすめします。
ご家庭でお洗濯できない浴衣はクレアンにお任せ下さい。
プロの目で汚れをチェックして、襟や袖口は丁寧にブラッシングして洗っていきます。
続いて、汗や汚れをしっかりと抜くために水洗いでクリーニングをしていくのですが、色が出やすい浴衣の色落ち、にじみ、色移りを防ぐために移染防止処置を施してから洗っていきます。
仕上げは職人の手仕事によるアイロンです。
細部まで丁寧にアイロンをあてて、次のシーズンも心地良く着ていただける状態でお届けいたします。
滅多に着ない浴衣でも、一度でも着用したら長期保管前には必ずお洗濯またはクリーニングをして下さいね。他店で断られてしまったシミ抜きなどもクレアンにお気軽にご相談ください。