シルク、ウール洗いの危険度。プロが教えるシワや縮み、傷みを防ぐ洗い方。

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つい最近あるクリーニング店が、洗い方の失敗で弁償することになってしまったということを聞きました。
プロであるクリーニング屋が、20万円もするシルクのジャケットを、
ワッシャー(洗濯機)に入れてしまう無知さ、感性の無さは嘆かわしいことです。

まずクリーニング以前に衣類がどういう経過で、出来てきているか、
どうやって製品らしくなっているかを知らなければならないと思います。
その知識があるかどうかで、クリーニングの作業の内容が随分変わってくるという認識がまず必要です。
【シルクについて】
繭が出すシルクは二つの種類があって堅い繊維の「セリシン」と柔らかい繊維の「フィブロイン」があります
。衣類に使っているのは柔らかい方のフィブロインです。
註)1本の繭糸(まゆいと)は、性質の違う2つのタンパク質で構成されている。
フィブロインと呼ばれる三角断面を持つ2本のタンパク質白質を、接着性のあるセリシンというタンパク質が、
覆うような形でできたのがシルク繊維である。

 
シルクの製造段階では、染色するために水にもお湯にも通しています。
なのにクリーニングで水を通すとダメになってしまう。
それは何故か。ワッシャーに入れてかき回して、繊維に大きな負担をかけてしまうからです。
でも洗浄すると言う意味から言えば、そろりそろりと取り扱えば、きれいになるはずなんです。

ウールでも、手洗いや水流式洗濯機で、繊維に負担をかけない洗い方をするなど、
取り扱いをちゃんとしてあげれば、シワにもならないし、縮みもしないで洗浄することが出来ます。

本来ウール繊維は生理的に縮むようにできています。
羊の毛は雨が降ってきたら、毛が縮みます。
これは羊の身体まで雨が染みこんでいかないようにするためにできた羊毛の特性なのです。

ウールを水の中につけると、シワっぽくなります。
ぎゅうっと詰まるのはウールの持っているうろこ状のスケールが開いたり閉じたりすることによって起こります。
しかし乾けば伸びる。またウールには撥水性もある。これをうまく利用すれば、縮んだりしわにならない洗い方ができるのです。

ウールには「スケール」という”うろこ”状の毛表皮があります。
乾燥しているときは、この”うろこ”は閉じていますが、
水にぬれると開き、この状態でこすれると”うろこ”がからみ合って、
フェルト化(フェルトの生地のように堅くなること)現象を起こし、縮みの原因となります。
水の中で激しくこすると・・・
開いた”うろこ”がからみ合って縮んでしまいます。

やさしく洗うと・・繊維を守り、からみ合うのを防ぎます。
刺激の少ないと言われているドライクリーニングでも水分の多いソープを使うと、
縮みやフェルト化を起こすことがあります。

また梅雨時の衣類をドライクリーニングすると、特にウールやシルクなど天然繊維は、
水分をとても多く吸い込んでいるので、ドライ溶液に水分が多く混ざり、縮んだりすることがあります。
梅雨時にはソープの加減が必要となります。

 

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