シャネルのツイードジャケットはなぜクリーニングが難しい?素材・装飾・仕立ての話

シャネルを象徴する服のひとつ、ツイードジャケット。色とりどりの糸が織りなす独特の表情や、美しいシルエットに惹かれて、長く愛用している方も多いのではないでしょうか。
ただし、クリーニングの立場から見ると、シャネルのツイードジャケットは非常に情報量の多い服です。

「ツイードだからウール」と判断できるものではなく、表地には複数の素材や特徴の異なる糸が使われ、さらに裏地、ブレード、フリンジ、ボタンなども組み合わされています。
今回は、シャネルのツイードジャケットをクリーニングのプロの目線から詳しく見ていきます。

そもそも「ツイード」は素材の名前ではありません


ツイードと聞くと、ウールで織られた厚手の生地をイメージする方も多いでしょう。しかし、ツイードは「ウール100%」を意味する素材名ではありません。

現在のシャネルにも、コットンツイード、コットン&ウールツイード、「ツイード&ミックスファイバー」と表記されたジャケットなどがあります。つまり、同じシャネルのツイードジャケットでも素材構成はコレクションやシーズンによって異なるのです。

さらにシャネルのメティエダールを担う刺繍・ツイード工房ルサージュでは、ウール糸にさまざまな素材を織り合わせてツイードを作り続けています。均一な一本の糸だけで構成された生地ではなく、太さや質感、毛羽立ちの異なる糸を組み合わせることで、シャネルらしい立体的な表情が生まれます。

だからクリーニングでも、「ツイードだからこの洗い方」と一括りにはできません。まず組成表示を確認し、どのような糸で織られているか、生地に毛羽立ちや糸引きがないかまで見ていきます。

表地だけでは判断できないシャネルのツイードジャケット


現在販売されているシャネルのジャケットには、表地がコットン&ウールツイードで、内側にシルクの裏地を使ったものがあります。
襟や前立て、袖口、ポケットを彩るブレードやフリンジもシャネルらしさをつくる大切な部分です。2026年の製品にも、立体的なブレードやダブルCの装飾を組み合わせたツイードジャケットがあります。
さらにメタルや装飾性の高いボタン、刺繍、パールやスパンコールを使ったものまであり、ジャケットによって注意すべきポイントはまったく異なります。

こういった点を熟知したうえで、オーダーメイドクリーニングができるお店でないと、シャネルのツイードジャケットを洗うことはできません。

クリーニング前の確認で「どこを守るか」を決めます

クレアンでは、シャネルのツイードジャケットをお預かりしたら、まず表地と裏地、ブレード、フリンジ、ボタン、刺繍などを一着ずつ確認します。

糸が飛び出している部分はないか、フリンジがほどけていないか、ボタンや装飾はそのまま洗えるか。摩擦を避けたい部分は保護し、装飾や生地に合わせて洗浄方法を決めます。
洗い方は、一着ずつの手洗いと、高級衣類専用のマイクロバブル洗浄を組み合わせます。水そのものを髪の毛よりも細かな泡に変えて洗うことで、生地に直接水を当てずに洗浄できるのがクレアンのマイクロバブル洗浄です。ウールやシルクなど本来は水洗いが難しい素材も、生地への負担を抑えながら安全に丸洗いし、汗や皮脂までさっぱりと洗い上げます。

仕上げも慎重に行います。ツイードの表面を強く押さえれば、せっかくの凹凸や毛羽感が潰れてしまいます。アイロンの温度や蒸気、圧力を調整しながら、立体的なシルエットとツイードならではのふっくらとした表情を引き出します。

シャネルのツイードジャケットはクレアンへ

シャネルのツイードジャケットは、一着の中に異なる素材、糸、装飾、仕立てが詰め込まれています。
大切なのは、「高級ブランドだから丁寧に洗う」ではなく、その一着が何でできていて、どこに負担をかけてはいけないのかを理解して洗うことです。
クリーニングをご検討の際は、ブランド衣類を数多く扱うクレアンへご相談ください。