1点1点隅々まで洗うアクアシャワー洗浄
複雑で繊細な素材のウェディングドレスは、洗浄機では洗いません。装飾や繊細な素材で縫製されているドレスを、ワッシャーなどの機械の中で撹拌することは決して良いことではないからです。ドレスは大事に大切に扱わなければならないのです。
アクアシャワー洗浄は、40度のシャワーをドレスになじませ、石鹸バブルとブラッシングによる手洗いクリーニング技法です。
シャワーでドレスを十分になじませたところで、石鹸バブル(泡)が掛けられます。洗浄力が強くて決して繊維を痛めることのない特製石けんですから、汗汚れなどはバブルの力で溶けていきます。
バブルが十分にドレスに染みこんだら、つぎにウェディングドレス全体をブラッシングしていきます。
汚れの箇所を見つけ、軽くブラッシングするだけで、トレーン裏の黒い汚れなども除去されます。
ドレスについた各種汚れのクリーニング
ドレスについたワインの染みのクリーニング
これはワインのシミです。色を見るとまだ新しいシミのようです。このワインしみを放置しておくとやがて酸化してきます。そうなると特殊な漂白作業を行わないと元にもどりません。
石鹸溶剤でブラッシングすることで、すっかり綺麗になりました。
ドレスについたファンデーション汚れのクリーニング
これはファンデーション汚れです。ファンデーションをつけてドレスを着用すると、必ずドレスに付着します。
ファンデーションは油性と水性が混合されているものが多く、石鹸溶剤だけでなく、油性のシミ抜き剤を使用します。
溶剤をつけてしばらくおきます。それからブラッシングをすると、気持ちのいいほどよく取れていきます。
トレーン(引き裾)裏の汚れのクリーニング
ウェディングドレスで、最も汚れの多いのはトレーン部分、引きずる裾スカートの裏側です。式場で引きずられる部分ですから、汚れるのは致し方ないものですね。
トレーン(引き裾)裏の汚れをキレイにするには、時間と手間を掛けて、隅々まで徹底的にブラッシングすることです。洗浄力のある石鹸で、生地を傷めないブラシで洗うからこそできる手洗いクリーニング技術です。
上の画像は花嫁が記念写真で外を歩きまわって出来た汚れですので、かなりのひどい汚れがついていましたがすっかりキレイになりました。他のクリーニング店では「生地が痛むのでこれ以上出来ません」という但し書きがつけられることが多いのですが、当店ではドレスがどのように汚れようとも、可能な限りもともとの純白さを取り戻すよう努めております。
ウェディングドレスの漂白技術
ウェディングドレスのウエスト周りに付いたオレンジ色のシミです。どうしてこのようになったかは不明です。変色していますので、特殊漂白で処理しました。
以上のように、引き裾裏の汚れ、ワイン、ファンデーションの染み抜き、特殊漂白などは、効率を重視した機械洗いのクリーニング工場では決してうまくいくものではありません。まごころこもった手洗いだからできるドレスクリーニングなのです。
ドレスクリーニングの洗いの仕上げは、最後に大量のシャワー水が掛けられ、汚れが石鹸とともに洗い流されます。
ウェディングドレスは「純白の白さ」を際だたせるためにツヤ出しを、またカラードレスは「鮮やかさ、しなやかさ」を保つために、補色・リンス加工などの方法でクリーニング処理します。
ドレスの乾燥作業
遠赤外線の低温乾燥室でじっくり乾燥します。繊細な衣類のクリーニングでとても大切なことは、ワッシャーなどでドレスを撹拌しないこと、洗いから乾燥まですべて低温で処理をすることです。
ドレスのアイロン仕上げ
ウェディングドレスアクアシャワー洗浄と低温乾燥は、シルエットや形を崩さない、シワができにくい利点があるので、アイロン仕上げが比較的楽になります。
ウェディングドレスクリーニングのすべての工程で、ドレスのシルエットを保ったまま洗い上げ、仕上げるのが、アクアシャワー洗浄の特徴です。
ウェディングドレスのクリーニングが完成し、最後の検品を経て、お客さまに届けられます。