LEATHER / CLAIRE UNE乾燥したレザーのケア水分・油分と色を見極める
カサついた革にオイルを重ねる前に、素材、表面の加工、色落ちや硬化の状態を見極めましょう。クレアンは洗浄後の乾燥と保湿・補色を、品物ごとに検討します。

表面は油っぽいのに、革は硬いまま。その前に
お気に入りの革製品がカサついてきたとき、まずクリームやオイルを手に取る方は多いかもしれません。けれども、足せば足すほど柔らかくなるとは限りません。表面の仕上げや乾燥の進み方によっては、油分が残るだけで、気になる硬さが変わらないこともあります。
クレアンの工房では、単に上からクリームを塗って終えるのではなく、蓄積した汚れや古い油分を見直すところからケアを考えます。大切なのは、水分と油分をどのように扱い、どの状態で次の工程へ進むか。革の表情を見ながら判断する、細かな仕事の積み重ねです。

古い汚れを落としてから、保革の工程へ
汗に含まれる塩分や日常の汚れ、重ねて使ったケア用品。革の表面には、長く使った時間がさまざまな形で残っています。その上へ油分を加える前に、洗浄できる素材か、表面が弱っていないかを確認します。革の種類によっては、水を使う方法自体が適さない場合もあります。
洗浄を行う場合は、革に合う天然石けんの洗浄液などを用い、状態を確かめながら手作業で進めます。目的は、汚れを取り除いて保革の工程へつなぐことです。硬さや乾燥が気になるからといって、家庭で長時間水に浸す方法とは異なります。
保革では、革に残る水分の状態を見ながら加脂剤を用います。加脂剤とは、革に油分を補い、しなやかさを整えるためのものです。完全に乾いた後で表面へ多く塗るのではなく、作業中の革の状態を見て量とタイミングを考えます。すべての革に共通する一つの配合比率で決められる仕事ではありません。
乾燥を急がないことも、仕上げの一部です
水分を含んだ革を、早く乾かすために強い熱へ当てると、縮みや硬化を招くことがあります。クレアンでは自然乾燥に時間をかけ、途中の状態を見ながら仕上げへ進めます。乾燥は洗浄の後の単なる待ち時間ではなく、革の感触を左右する工程です。
触れたときの柔らかさや表面の光沢だけでなく、部分ごとの乾き方にも目を向けます。預ける期間に余裕をいただきたいのは、手作業に加え、急がず状態を整える時間が必要だからです。着用や使用の予定がある場合は、発送前に現在の納期をご確認ください。

風合いを整えるケアと、色を整えるケアを分けて考える
乾燥した革のケアと、色あせや擦れの修正は、関係しながらも目的が違います。洗浄と保革で感触を整えた後に、色の差が気になる場合は補色や染め替えを検討します。写真はジャケットの染め替え前後で、色の変化を伴うメンテナンスの一例です。
補色では、表面の仕上げや元の色を確認し、エアブラシなどで調整します。『柔らかさを整えたい』『今の色味を残したい』『別の色を考えたい』では作業の目標が変わります。希望を一つずつ整理することで、必要な工程と仕上がりの違いをご案内しやすくなります。



ひび割れがあるときは、元に戻せる範囲を見極める
カサつきと、すでに亀裂が入った状態は同じではありません。切れた革の繊維を、洗浄やクリームだけでもとの状態につなぎ直すことはできません。表面を整える補修を考えられる場合もありますが、深さや範囲を見て判断する必要があります。
雨ジミが気になる場合も、部分だけをこすったり濡らしたりする前に、全体とシミの写真をお送りください。革製品のにおいについては、付着したにおいと革自体のにおいを分けて考えます。困っていることを具体的に伺い、できることと難しいことを共有します。
日常のお手入れでは、使用するクリームがその革に適しているかを確認し、むやみに量を増やさないことが大切です。シーズンの終わりなどに全体を見直し、硬さや色の変化に早く気づくことが、愛着のある品物との長い付き合いにつながります。
クリーム・雨ジミ・ひび割れのご相談
Q.オイルを塗れば柔らかさが戻りますか?
革や劣化の状態によります。過剰な油分はシミやベタつきの原因にもなるため、事前確認をおすすめします。
Q.色あせも一緒に相談できますか?
はい。色補正の可否と見え方は素材・加工・色によって異なります。
Q.ひび割れた革も元に戻りますか?
深いひび割れを完全に元へ戻すことは困難です。現状と希望を確認し、可能な対応を案内します。
Q.雨ジミのところだけ濡らして直してもよいですか?
部分的な処置で輪ジミや色の差が広がることがあります。まず全体とシミの写真を残し、素材や表面加工を確認してから対応を相談してください。
Q.革特有のにおいもなくなりますか?
付着したタバコ・香水などのにおいと、革のなめしや染料に由来するにおいでは対応が異なります。においの種類と状態を確認してご案内し、完全な除去を一律にお約束するものではありません。